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2023.11.9
フラボノイドの自発配向分極
Scientific Reports誌に論文が掲載されました。
"Spontaneous orientation polarization of flavonoids" (open access)
https://www.nature.com/articles/s41598-023-46834-1?utm_source=rct_congratemailt&utm_medium=email&utm_campaign=oa_20231108&utm_content=10.1038/s41598-023-46834-1#data-availability
抗酸化作用があり、健康にもいいと言われるフラボノイド。植物性の食品に含まれる物質群ですが、本報告では、漢方薬の材料に使われるオウゴンと呼ばれる植物の根っこに含まれるバイカレインという極性分子を電極基板に真空蒸着すると、分子のダイポールモーメント(7.08 D)が相殺せずに僅かに膜厚方向に配向し、100 nmで+5 Vを超える表面電位(巨大表面電位,GSP)が生じることを示しています。励起子寿命が短く、分極電荷を補償する光電荷の量が少ないため、可視光を吸っても光安定性に優れます。ジヒドロキシフラボンという分子でもGSPが出ることも見つけています。何か突拍子もないことに使えないか考えているところです。「そこら辺のモノ」を使った研究第3弾です。
2023.10.22
化学と工業に取材記事が載りました。(volume 76, P.696)
CSJフェスタで講演しました。
化学と工業の最新号の「自動車軽量化に向けたマルチマテリアル化と異種材料接着技術の今」に油面接着の様子をSFGで捉えた研究が紹介されました。過去に有機半導体ヘテロ界面を研究してましたが、この油面接着も有機ヘテロ界面の話。異種分子の入れ替わりや拡散、基板界面での反応などの詳細を解き明かせば、有機半導体の界面構造形成にもつながることがあると思っています。
また、10/19にCSJフェスタの産総研企画"従来の限界性能を打破する「突破材料」~次世代の革新的材料開発に貢献する産総研の取り組み~"にてカフェ酸などの極性植物分子を用いた仕事関数、巨大表面電位の出現について講演しました。最終日夕方の講演だったので会場は少し寂しかったですが、理研時代にお世話になった方々にも会えてよかったです。バイオ代替の進みは遅々としてますが、少しずつ性能と可能性を引き出して参ります。
2023.9.27
産総研LINKに取材記事が掲載されました。
https://www.aist.go.jp/aist_j/magazine/20230927.html
カフェ酸による電極修飾の研究に関する取材記事が産総研LINKに掲載されました。仕事関数を上げるという極めて地味な研究を取り上げていただき、大変ありがたく恐縮している次第です。興味のある方はぜひご覧ください。ちょっとだけラボの写真も載ってます。細貝さんとの2ショットもwww
それはそうと、極性植物分子を扱っていると、バイオマス応用という範疇にとどまることなく、デバイス構築をする上でまだまだ異種材料界面の摩訶不思議にぶち当たってる今日この頃です。。「新しい材料には新しい物理」が植物分子にも言えるのでしょうか。
2023.7.25
エポキシ接着剤/アルミニウム界面における接着の起源
Langmuir誌に論文が掲載されました。
"Disentangling Origins of Adhesive Bonding at Interfaces between Epoxy/Amine Adhesive and Aluminum"
https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.langmuir.3c01218
産総研のABC-Uにて実施した接着剤界面研究をまとめた論文が出版されました。軽量なAlは接着接合に使われており、エポキシ接着剤との界面の研究は従来から行われてましたが、統一的に解釈されていませんでした。また、化学相互作用とアンカー効果の切り分けも、平滑な被着体のDCB試験を実施することで可能になりました。化学相互作用は、接着剤の濡れに大事で、アンカー効果の基礎となっています。多角的な実験研究と理論による裏付けもしており、接着界面の理解に踏み込んだ仕事となりました。
2023.5
千葉大学の合同セミナーで口頭発表しました。(5/10)
機能材料、電気情報通信学会誌の5月号に記事が掲載されました。
千葉大学の吉田先生、石井先生、宮前先生の研究室が合同で開催されたセミナーにて、「有機/金属界面の接着と仕事関数制御」と題して、講演いたしました。産総研に入所以来の仕事を振り返る良い機会になりました。学生さんからのご意見は研究所勤務の私にとっては大変貴重で、これからも頑張ろうというエネルギーを注入いただきました(懇親会、大盛り上がりでした)。午前は久しぶり電子準位接続のディスカッションをして、未解明な点を再認識しました。
また、カフェ酸を用いた電極仕事関数制御の話が機能材料と電気情報通信学会誌に掲載されました。チョイスいただき、大変ありがたいです。まだまだ面白い分子が植物にはありそうですので、デバイス応用に注力していきます!
2023.3
応用物理学会、農芸化学会で口頭発表しました。
カフェ酸を用いた仕事関数制御の内容を学会で発表いたしました。既存物質との比較、分解性、分子配向の詳細などについて様々な角度からご意見いただくことができました。ありがとうございました。応用物理学会は対面で、本当に刺激になりました。これからも植物分子の探索に一層力を入れて参ります。
2023.1.4
油面接着メカニズムの直接観測
J. Adh.誌に論文が掲載されました。
"Direct observation of oil-surface adhesion via sum frequency generation spectroscopy" (open access)
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00218464.2022.2163894
接着絡みで初めての論文です。錆止めや離型剤用に金属被着体表面にシリコーンオイル、ミネラルオイルなどが塗られています。構造接着では、被着体の洗浄過程を省略し、油面にも接着できる接着剤が求められています。この研究では、和周波発生分光(SFG)を用い、シリコーンオイルで被覆されたアルミ表面に接着剤が配向する様子、オイルの脱着の様子を調べました。有機半導体ヘテロ界面の分子交換にもつながる話ですが、速度論的な議論が今後欲しいところです。
2022.12.15
グラファイト状窒化炭素とアルカリハライドの反応機構に関する考察
J. Phys. Energy誌に論文が掲載されました。
"Insights into chemical reactions of graphitic carbon nitride with alkali halides" (open access)
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/2515-7655/aca934/pdf
グラファイト状窒化炭素とNaClなどを混合し、500℃程度で加熱するとシアナミド基が入ったり、ポリヘプタジンイミドが生成されるということが知られていました。この研究では、一見反応しそうもないNaClが反応炉内で塩基に「化けて」、メロンと反応し、分解やら化学修飾やらが起きる、ということを明らかにしました。薄膜の研究からあることがきっかけで発展させた研究ですが、g-CNの反応理解の一助になればと思います。
2022.12.3
コーヒーに含まれるカフェ酸が半導体デバイスの性能を向上
Adv. Mater. Interfaces誌に論文が掲載されました。
"Increasing Electrode Work Function Using a Natural Molecule"
(open access)
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/admi.202201800
有機半導体デバイスの電極界面における電荷の注入、抽出を効率化するのに重要なパラメーターである仕事関数を植物に普遍に存在するカフェ酸で増加でき、電流値が増大することを発表しました。天然の接着剤から着想した研究です。分子の永久双極子モーメントから考えてもっと仕事関数は変えられそうなので、研究を続けていきます。そのうちコーヒーからカフェ酸抽出して試してみたいです。初めてプレス発表しました。原稿準備、大変だった、、
「そこら辺のモノ」を使った研究第2弾です。筑波大山田先生との共同研究です。
2022.9.30
本を分担執筆しました。
分担執筆した「接着界面解析と次世代接着接合技術」(堀内さん監修)が発刊されました。和周波発生分光(SFG)、XPS、ケルビンプローブを併用した接着剤界面の分析について少し書きました。ぜひお求めください。
2022.7
光触媒の分子構造をガラスとの反応で変えて光触媒活性が向上
Phys. Chem. Chem. Phys.誌に論文が掲載されました。
"Chemical Reactions of graphitic carbon nitride films with glass surfaces and their impact on photocatalytic activity "
https://pubs.rsc.org/en/content/articlehtml/2022/cp/d2cp01677j
グラファイト状窒化炭素薄膜に関する論文がPCCPから出版されました。実験室のスライドガラスや家庭のコップなど広く使われているソーダガラスを基板に使うと電子求引基が部分的に導入され、薄膜内にタイプIIの界面が形成され、光触媒活性が改善するという報告です。論文中では、我が家で割れたコップに成膜し、クエン酸を使った活性化も実証しています。「そこら辺のモノ」を使った研究の第1弾です。Hot Paperに選出いただきました。